はじめに
アパートやマンションを所有していると、建物の経年劣化にともなって、外壁塗装や防水工事、鉄部塗装などのメンテナンスが必要になります。
そこで悩みやすいのが、「普段から入居者管理をお願いしている管理会社に、そのまま修繕工事も依頼していいのだろうか?」という問題です。
管理会社に相談すれば、業者を探す手間も省けますし、普段から付き合いのある会社であれば安心感もあります。一方で、建物の修繕工事については、管理会社とは別に専門業者へ相談したほうがよいケースもあります。
特に、アパートよりも規模が大きく、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションになると、外壁や防水、下地補修などに専門的な知識や経験が必要です。
今回は、アパート・マンションのオーナー様が修繕業者を選ぶ際に、知っておきたいポイントについて解説します。
入居者管理と建物の修繕は別の専門分野
賃貸アパートやマンションのオーナー様にとって、入居者管理は非常に重要です。
入居者からの問い合わせ対応、家賃管理、退去時の手続き、共用部分の清掃など、建物を運営していくためにはさまざまな管理業務があります。
そのため、多くのオーナー様が不動産会社や管理会社に入居者管理を依頼しています。
ただし、「入居者の管理」と「建物の修繕工事」は、同じ建物に関わる仕事であっても、必要となる知識や技術は異なります。
例えば、外壁の改修工事を行う場合には、塗装工事だけでなく、防水工事、下地補修、シーリング工事など、さまざまな専門工事が関係してきます。
工務店などの総合的な業者に依頼した場合も、実際の塗装工事は塗装業者、防水工事は防水業者というように、それぞれの専門業者が施工することが一般的です。
つまり、工事を依頼するときには「どの会社に頼むか」だけではなく、「その会社がどのような建物の修繕を得意としているのか」を確認することが大切です。
管理会社に修繕工事を依頼する場合の仕組み
管理会社に建物の修繕について相談すると、管理会社から工事業者を紹介してもらえるケースがあります。
この場合、大きく分けると次のようなパターンが考えられます。
| 依頼方法 | 一般的な流れ | オーナー様のメリット | 確認したいポイント |
|---|---|---|---|
| 管理会社から業者を紹介 | 管理会社→専門業者→オーナー | 業者探しの手間が少ない | 紹介料や工事内容 |
| 管理会社が元請け | 管理会社→下請け業者→施工 | 窓口を一本化できる | 中間費用・施工体制 |
| 専門業者へ直接依頼 | オーナー→専門業者 | 直接相談しやすい | 実績・対応範囲 |
| 改修専門業者へ依頼 | オーナー→改修専門業者 | 建物修繕を総合的に相談できる | アパート・マンションの施工実績 |
管理会社が専門業者を紹介するだけの場合もあれば、管理会社自身が元請けとなって、下請け業者に工事を発注するケースもあります。
どちらが良い、悪いという単純な話ではありません。
普段から管理を任せていて、信頼関係がしっかりできているのであれば、「修繕もまとめてお願いしたい」と考えるのは自然なことです。
一方で、修繕費用をできるだけ抑えたい場合には、専門業者から直接見積もりを取ることで、工事内容や金額を比較しやすくなる場合があります。
管理会社に任せるメリットと注意点
管理会社に修繕工事を相談する最大のメリットは、オーナー様自身が業者を探す手間を減らせることです。
普段から建物の管理をお願いしている会社であれば、建物の状態や入居者の状況なども把握している可能性があります。
また、工事中の入居者対応なども含めて相談できる場合があります。
一方で、管理会社が元請けとなる場合には、管理会社から施工業者へ発注する形になるため、工事費用の中に管理や手配に関する費用が含まれることがあります。
また、管理会社が工事そのものの専門業者ではない場合、実際の施工は外部の業者が担当することになります。
そのため、見積書を受け取ったときには、単純に総額だけを見るのではなく、「どの会社が実際に施工するのか」「どのような工事内容なのか」まで確認しておくことが重要です。
アパート・マンションは「建物の種類」に合った業者選びが重要
修繕業者を選ぶときに特に注意したいのが、業者の施工実績です。
戸建て住宅を中心に施工している塗装業者と、アパート・マンションなどの大規模な建物を数多く施工している業者では、必要とされる経験が異なります。
戸建て住宅の場合、建物の規模が比較的小さく、施工範囲もある程度限定されています。
一方、アパートやマンションでは、建物全体の面積が大きくなるだけでなく、入居者が生活している状態で工事を進めなければなりません。
足場の設置、共用部分の養生、入居者への案内、安全対策、工事中の動線確保など、戸建てとは異なる対応が必要になります。
そのため、「塗装ができる業者なら、どこでもアパート・マンションを施工できる」と考えるのではなく、実際にどの程度の規模・種類の建物を施工してきたのかを確認することが大切です。
RC造マンションでは下地補修の知識も重要
特に注意したいのが、鉄筋コンクリート造、いわゆるRC造のマンションです。
RC造の建物では、外壁のひび割れやコンクリートの劣化などに対して、適切な下地補修を行う必要があります。
例えば、ひび割れの状態によっては、単純に塗料を塗って終わりというわけにはいきません。
ひび割れの幅や深さ、発生している場所などを確認したうえで、必要に応じて適切な補修方法を選択する必要があります。
場合によっては、樹脂などを用いた注入工法やUカットシール材充填工法など、専門的な補修方法が必要になることもあります。
また、RC造マンションの雨漏りについても、戸建て住宅とは原因や浸入経路が異なる場合があります。
そのため、単純に「雨漏りしている場所を補修すればいい」というわけではありません。
建物の構造を理解し、雨水がどこから浸入している可能性があるのかを調査したうえで、適切な対策を考えることが重要です。
「新築が得意」と「改修が得意」は同じではない
業者を選ぶ際には、「建築会社だから安心」「大きな会社だから大丈夫」と考えるだけではなく、改修工事の実績を確認することも重要です。
新築工事と建物の改修工事では、求められる知識が異なる部分があります。
新築の場合は、基本的に新しい材料を使って建物をつくっていきます。
一方、改修工事では、すでに劣化した建物を調査し、「どこまで補修する必要があるのか」「どの工法を選択するのか」「今後どの程度の耐久性を持たせるのか」を判断しなければなりません。
特に築年数が経過したマンションでは、表面の塗装だけではなく、下地や防水など建物全体の状態を確認する必要があります。
だからこそ、業者を選ぶ際には「会社の規模」だけではなく、「アパート・マンションの改修工事をどれだけ経験しているか」を確認することが大切です。
まずは建物診断を受けて現状を把握する
修繕工事を考え始めたからといって、すぐに建物全体を大規模修繕する必要があるとは限りません。
まず大切なのは、現在の建物がどの程度劣化しているのかを把握することです。
多くの業者では、一般的な建物診断や現地調査、見積もりを無料で行っている場合があります。
ただし、詳細な調査や専門的な診断については、有料になるケースもありますので、事前に確認しておくと安心です。
建物診断では、外壁のひび割れや塗膜の劣化、シーリングの状態、防水の劣化、鉄部のサビなど、さまざまな部分を確認します。
そして、調査結果をもとに「今すぐ必要な工事」と「今後検討すればよい工事」を分けて考えることが重要です。
一度にすべて修繕する必要があるとは限らない
アパートやマンションの修繕では、資金計画も非常に重要です。
例えば、大規模修繕で足場を設置するのであれば、足場が必要な外壁塗装や外壁補修などを同じタイミングで行うことで、工事を効率的に進められる場合があります。
一方、屋上防水など、工事内容によっては外壁工事とは別のタイミングで施工できるケースもあります。
もちろん、実際に工事を分けられるかどうかは建物の状態や工法によって異なります。
そのため、「すべてまとめて工事する」のではなく、建物の劣化状況と今後の資金計画を考えながら、優先順位を決めることが大切です。
例えば、
- 外壁のひび割れ補修
- 外壁塗装
- 屋上・ベランダの防水
- シーリングの打ち替え
- 鉄部塗装
- 共用部の補修
などをそれぞれ確認し、緊急性や工事のタイミングを整理していきます。
見積もりは「金額」だけで比較しない
複数の業者から見積もりを取る場合、どうしても金額に目が行きがちです。
しかし、アパート・マンションの修繕では、金額だけで判断するのはおすすめできません。
例えば、同じ「外壁塗装」という項目でも、下地補修の範囲、使用する塗料、塗装回数、シーリング工事、防水工事など、見積もりに含まれている内容が異なることがあります。
そのため、見積書を見る際には、次のような点を確認しておきましょう。
「何を、どこまで、どのような材料・工法で施工するのか」
これが明確になっているかどうかが重要です。
極端に安い見積もりが出てきた場合にも、単純に「安いからお得」と判断するのではなく、他社の見積もりと工事範囲を比較することが大切です。
管理会社と専門業者、それぞれの特徴を理解する
アパート・マンションの修繕については、「管理会社に頼むのが正解」「専門業者に直接頼むのが正解」と一概に決めることはできません。
普段からお世話になっている管理会社との信頼関係があり、入居者対応から工事の手配まで一括して任せたいのであれば、管理会社を窓口にする方法もあります。
一方で、修繕費用や施工内容を細かく比較したい場合には、アパート・マンションの改修実績が豊富な専門業者にも相談してみるとよいでしょう。
大切なのは、管理会社か専門業者かという二択ではなく、それぞれの役割や特徴を理解したうえで、自分の所有する建物に合った業者を選ぶことです。
アパート・マンションの修繕は早めの相談が大切
建物の劣化は、時間が経過するほど進行していく可能性があります。
外壁の小さなひび割れが見つかった段階であれば、比較的簡単な補修で済む場合でも、劣化が進行すると雨水の浸入や内部の劣化などにつながり、修繕範囲が広がる可能性があります。
だからこそ、目立った問題が起きてから慌てて修繕するのではなく、定期的に建物の状態を確認しておくことが重要です。
特にアパート・マンションの場合は、オーナー様自身が毎日建物を確認できるとは限りません。
管理会社からの報告だけに頼るのではなく、必要に応じて専門業者にも現地調査を依頼し、現在の建物の状態を把握しておくと、将来的な修繕計画も立てやすくなります。
まとめ
アパート・マンションのメンテナンスを考える際、普段から入居者管理をお願いしている管理会社に相談することは、決して間違いではありません。
ただし、入居者管理と建物の修繕工事は別の専門分野です。
特にRC造マンションなどでは、外壁塗装だけでなく、ひび割れ補修や下地補修、防水工事など、専門的な知識と経験が必要になる場合があります。
そのため、修繕を検討する際には、管理会社だけでなく、アパート・マンションの改修工事を専門的に行っている業者にも相談し、建物の状態や必要な工事を確認してみることが大切です。
まずは建物診断を受け、現在どこが劣化しているのか、どの工事を優先すべきなのか、いつ頃工事を行う必要があるのかを整理してみましょう。
大規模修繕、外壁塗装、防水工事、鉄部塗装などを一度にすべて行うのではなく、建物の状態と資金計画を考えながら、無理のない修繕計画を立てることが、長期的に建物を維持していくうえで重要です。
アパマンやまおか君では、アパート・マンションの大規模修繕を得意としております。
建物の状態を確認しながら、必要な工事や今後のメンテナンスについてご相談いただけます。
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